「相続分とは違う遺留分」(弁護士芝原明夫のコラム)
相当な広さの田畑を所有する旧家が、長男に全て生前贈与をしました。年間110万円以上の贈与には、高率の贈与税(贈与額200万円のとき9万円、300万円のとき18万5千円、400万円のとき33万円、600万円のとき82万円、1000万円のとき231万円、2000万円のとき720万円)を支払わねばなりません。 しかし、長男は「相続時精算課税制度」を利用していました。これは贈与税ではなく、相続として低い税率での支払を猶予する制度です。
その3年後に相続が発生しました。長年、亡父と一緒に農業をしていた妻は何の話も聞かされていなかったことと、長男は農業をほとんど手伝っていないことと相まってカンカンに怒り、遺留分を請求しました。
遺留分は相続分の2分の1なので、4分の1は妻のものとなりました。遺留分対象は、原則1年以内の贈与でありますが、「遺留分を害することを知っていた場合」はさかのぼって、減殺できます。