「相続開始後の生前贈与証書」(弁護士 芝原明夫のコラム)
沢山の不動産を所有する名家の先代が死亡しました。兄弟4人が相続することになりましたが、長男が生前に先代に書いてもらったという手書きの贈与書で、「全ての不動産の贈与を受けていた」と主張しました。
しかし、よく見ると贈与や不動産の表示一覧と末尾の日付・住所・氏名の筆跡が微妙に違います。
筆跡鑑定の結果、違う人の字体と判明し、長男と他の兄弟3人が大喧嘩の末、裁判に発展しました。長男が持っていた贈与書は、10年かかって先代に白紙に署名させ、その他は後日別人に記入させたもので、無効確認訴訟が確定しました。
その後の遺産分割では、長男は他にも多額の現金をもらっていたことも判明し、不動産は1ヶ所も承継できないという結果に終わりました。